全部、嘘。

妄想と日常と噓

MOVE

身体が伸びる。真っ白な冷たいシーツの上で、アナタの声を聴く。

「これ以上伸びたら消えちゃう」

「消えたらいい」

「そしたら、もうアナタに触れられないわ」

「触れなくていい」

冷たいひと。一度も私を見ない。

ここにいない誰かを思い浮かべて、その目を潤ませているだけ。

「動いて」

「自分で動けばいい」

私がもう、どうにもならないのを知ってるくせに。

「あの人のところへ行きたいなら行けばいいのに」

「お前が止まるのを見届けてから行く」

ねえ。アナタは本当に私が見えていないのね。

早く気づいて。

アナタはずっと。

さっきからずっと。

 

独りよ。